AMALA (Instrumental metal quartet based in Tokyo)
Formed in Tokyo, Japan in 2020.
We‘ll show you some of the ways to play heavy music.
「殻・逝・霾・宙」についてのセルフライナーノート————————————
周氏からまずは映像を送ってもらった。映像は何年か前に出来上がっており、この時点では別の音楽が暫定的に当てられていた。その音楽は映像のために書き下ろされた音楽ではなく歌詞もあった。当然、歌詞の内容と彼女のコンセプトが完全にマッチするはずはない。映像と音楽の長さも合っていない。
映像は4部で構成されているので、僕がまず最初にしたことは、各部の長さを計ることだった。予め曲の長さを決めてから作曲をするというのは普段はやらないことである。これもコラボレーションならではの良い経験だった。
その後はひたすら何度も映像を見た。また、殻・逝・霾・宙というタイトルが意味するところを周氏に教えてもらい、自分の中で咀嚼することに努めた。
4部あるのならやはり「起承転結」の構成を意識するのが人情というものだろう。
各部はそれぞれ独立していながらも、一貫性は絶対に必要である。それを表現するために同じモチーフを変奏しながら各部に登場させることを考えた。それを容易にするために、基本的にテンポは一定にすることにした。
やはり何事も初めが肝心である。素直に1部の「殻」から作曲に取り掛かることにした。
漠然とした音像は浮かぶものの、具体的な音符の配列がすぐに降りてくるわけではない。最初のきっかけを掴むためには、とにかく手を動かすしかない。
いくつものメロディーを探し、いくつものフレーズを捨てることを繰り返し、「殻」の冒頭のクリーントーンのギターのフレーズが見えてきた。
僕はシンプルなものが好きなので、一つ一つのパーツはなるべく簡素にしたいと考える。しかし、簡素でありながら聴取に耐えうるものにするには工夫が必要である。
左のギターは3拍子、右のギターは4拍子で試す。なかなか上手くいった。簡素なパーツも、ずれて重なることで豊かな表情を見せてくれる。
そして、この3と4というそれぞれの周期から12という数字が導かれる。ずれたフレーズは12拍ごとに出会うのだ。ではこの12という周期をどれくらい反復するのが良いだろうか?24?36?48?
36であれば9×4という解釈も可能でもある。この時点で、殻・逝・霾・宙は9という周期を鍵として作曲することにした。
話は「殻」に戻る。
前半部分は、クリーントーンのギターに対して、9拍のまとまりのベースをつけた。キックドラムもそれに従う。
その後、ギターは歪んだ音になるが、ベースとキックはそれまでの譜割を2倍速にしただけである。
このように書くとなんとも単純な構造に思えるが、ドラムについては、手と足がずれていくため演奏は簡単ではない。
「殻」を書いた時点で、「宙」の終わり方も決まった。宙の終盤のメロディー(これはとても気に入っている)もこの時に書いた。
この時点では、「逝」「霾」そして「宙」の大部分が見えていない。宙の終盤のメロディーに上手く着地できるか不安だった。
この音楽はどのような道筋を辿るのか。
試行錯誤と創意工夫を積み重ねた。
起承転結を意識していたので、「逝」は「殻」の要素を引き継ぎつつ、何か新しい要素を入れたかった。「霾」では大胆な変化を。そして宙で全てを帰結させたい。
毎日毎日作曲に取り組んだ。
方向性やルールが決まっていたせいか、大きく間違うことは少なかったように思う。
「宙」で全てを帰結させたいと考えていたため、まず「殻・逝・霾」を確定的なものにしたかった。そのため、3部までを作曲した段階で周氏にチェックをしてもらった。
「逝」は周氏のイメージに合わなかったようだ。
ここで改めて周氏のコンセプトや考えを確認し、その明確さに驚いた。これほどまでにしっかりと自身の表現を言語化できる芸術家もなかなかいないのではないかと思う。
周氏の考えを聞いて修正した結果、「逝」は最初の形とは随分変わった。それを聴いた周氏はイメージにピッタリだと言ってくれて非常に嬉しかった。この辺りでようやく今回の作曲の手応えが掴めてきた記憶がある。
「逝」も「殻」と同様に9拍の周期のフレーズで始まる。
新しい要素を登場させたかったので、途中から5拍のまとまりのリズムにした。所々3拍が挿入される箇所があるが、5拍×3+3拍=9拍×2なので曲としての一貫性は保たれていると自分は感じる。ここで出てきた5の拍節は後の「宙」で多用することになった。
「霾」は起承転結の「転」に該当すると思っていたので、少し雰囲気を変えたかった。そのための具体的な案がなかなか思いつかなかったが、9/4ではなくて9/8拍子にすることで解決した。この曲は「宙」への収斂の度合いが低いが、全体の中で良いアクセントになったと思う。
「宙」は起承転結の「結」にあたる。この曲独自の要素とそれまでの3部の要素が結びつくようなイメージで作った。
今作は映像のための書き下ろしの音楽ではあるが、AMALA のライブでも「宙」だけは抜粋して演奏できるようにしたいと考えながら書いた。ライブを想定したこともあり、高揚感のあるクライマックスを表現できたと思う。
NORI/AMALA
关于《殻・逝・霾・宙》4K影像作品
文 / 周褐褐
生活并不平淡。
我们试着创造自己的世界。
《殻・逝・霾・宙》构建于黑白光影,东方式的循环生生不息。
细胞在岩石的微孔中诞生,吸收养分生长分裂,随着水源干涸,迁移或是消亡。瞬息千年,惆怅涌起。
光影流动,墨色转换。多年来,我一直有一种想法,让这部影像作品获得完整的呈现。在静谧里雕凿出声音,不仅目睹,更要倾听。当然,是在自然与质朴的方向上。
机缘一直求而不得,直至结识了日本东京的后金属乐队AMALA。
这次合作既可谓熟悉却又不同寻常。前后长达一年时间的跨国沟通,对于我们都是磨砺。当最终的音乐与画面结合,诞生出一种前所未有的能量,一种与纯然视觉艺术相比拓展到听觉感官带来的震惊,一种强烈的流动性与熟悉的沉静感的相辅相成,为人所知的黑与白被增添了无数层的声学灰度。
影像是真实拍摄的,没有使用特效。音乐也都是真实创作与演奏的。回想起来,雕塑制作几经反复,拍摄时的打光、烟雾,音乐创作和编曲配器等等方面都历经了数不清的调整处理,颇像植物生长,蜿蜒曲折却永不言弃。
幽静的峡谷开启叙述,虚虚实实的风景看似宁静却暗流涌动。单细胞生命转瞬生灭,爬行生物统治世界亿万年,只留下奇形怪状的巨大骸骨;骨骼生长衰败,地貌剥蚀堆积,万物成住坏空。又有迷雾骤起,灰白、灰蓝、灰黄,阴霾侵蚀一切,无奈的伤害触目可及。过去曾经怎样?未来将会如何?或归浩瀚,或归岑寂。
“有很多种层次的生存都是我们准备好要去接受的。但是,重要的是你是否准备去接受这个世界上所有人的死亡这一责任。”
——《骇客帝国:重装上阵》
白色包含所有颜色,黑色灭失所有颜色。可见与不可见的粒子、波与场,能追溯到宇宙初创。我们一直都是大自然的一部分,思绪蕴含于水滴灵动的聚散无常,也发散至最暗的星空深底。
“应该对黑色心怀敬意。没有什么能玷污它。它不赏心悦目,也不会唤醒任何感受。它是思想的使者,远超调色盘或三棱镜中的绚烂色彩。”
——奥迪隆·雷东
音乐蕴含着同样的色彩、态度与张力。每一个音符及其间隙都浸淫着画面同频的感悟。一如AMALA所说,作品“初看起来似乎是黑暗的,有点吓人。然而,我觉得其中一直包含着正能量。”古典音乐是我的启蒙,成为今天的自我的基础;金属乐和摇滚乐点亮我的人生,让少年时期的我由被动变为主动。这能量一直都在,AMALA创作的四部分音乐是这件作品成长的声音,感谢你们。
声波的能量流过我的作品,透过感官投入心泉,最终达成了一个心仪的上升螺旋。
“音声相和,前后相随。”视觉与听觉丰茂交叠,宛若实质。
影像与音乐,从内心发出感叹。
生活并不平淡,今次的合作跃动着希望的光芒。
About “Shell, Elapse, Haze, Aeon” 4K videowork
By Hoho Zhou
Life is not insipid.
We try to create our own world.
“Shell, Elapse, Haze, Aeon” was built upon black and white, light and shadow, with endless growth in Eastern aesthetics’ cycle.
Cells were born in the micropores of extrusive rocks, absorb nutrients, grow and divide, migrate or die as the water source dries up. In the blink of an eye as in a thousand years, melancholy rises.
Light and shadow flow, ink converses. For many years, I have had an idea to achieve a complete presentation of this video work. Carving out sounds in silence, not only witnessing, but also listening. Of course, it is in the direction of natural and unadored direction.
Serendipity was never sought until I got in touch with Post Metal band AMALA from Tokyo, Japan.
This collaboration is both familiar and unusual. The year-long international communication has steeled us all. When the finished music and video intertwined, an unprecedented energy was born, a shock that extends to the auditory senses compared to visual art, a strong fluidity and a familiar sense of stillness complement each other, adding countless layers of sonic grayscale to the well-known black and white.
This is a live-action video without using any special effects. Music was also truly created and performed. In retrospect, the sculpture production went through numerous iterations, with countless adjustments and treatments in lighting, puffing during filming, music writing and arrangement, much like the growth of plants, meandering but never giving up.
Tranquil canyon opens the narrative, fictitious and real scenery appears peacefully but undercurrent surges. Unicellular organism suddenly emerges and disappeared. Reptiles ruled the world for billions of years, leaving behind only strangely shaped gigantic skeletons; Bones grow and decay, geomorphic erosion and accumulation, Vivartakalpa, Vivartasiddhakalpa, Savartakalpa and Savartasiddhakalpa to everything. Suddenly, mist rises, pale white, blue gray, and yellow gray. The haze erodes everything, and helpless damages in sight. How was it in the past? What will happen in the future? Either return to vastness, or return to stillness.
“There are levels of survival we are prepared to accept. However, the relevant issue is whether or not you are ready to accept the responsibility of the death of every human being on this world.”
– The Matrix Reloaded
White comprises all colors, black devours all colors. Visible and invisible particles, waves, and fields can be traced back to the beginning of the universe. We have always been a part of nature, and our thoughts are contained in the dynamic flow of water droplets, emanating into the darkest depths of the universe.
“One must respect black, nothing prostitutes it. It does not please the eye and it awakens no sensuality. It is the agent of the mind far more than the most beautiful color to the palette or prism.”
– Odilon Redon, “To myself”
Music here contains the same colors, attitudes, and tension. Every note and its pause are immersed in the same frequency of perception in the picture. As AMALA said, the work “initially appears dark and a bit intimidating. However, I feel that it always contains positive energy.” Classical music was my enlightenment, becoming the foundation of today’s self; Metal and Rock music have lit up my life, transforming me from passive to active in my youth. This energy is always there, and the four-part music created by AMALA is the voice of the growth of this work. Thank you.
The energy of sound waves flows through my work, immersing oneself in the spring of your heart through senses, and ultimately achieving a desired spiral of ascent.
“Sound and tone harmonize each other, before and after follow each other as a sequence.” The video and music overlap profusely, almost like materials.
Images and music evoke sighs within.
Life is not insipid, this collaboration is shining with hope.